【金融業界の駆け出しデータサイエンティスト向け】失敗しない!分析設計の5ステップと金融データの扱い方

データサイエンス基礎

はじめに:分析設計でつまずかないために

「とにかくデータを見てと言われたけど、どこから始めるべき?」「金融のデータって特殊すぎて難しそう…」

そんなあなたの悩み、よく分かります。

この記事では、金融業界で初めてデータ分析に取り組む方向けに、プロジェクト立ち上げの最重要フェーズである分析設計をステップバイステップで解説します。

フレームワーク「BADIR」の考え方も取り入れつつ、実務でそのまま使えるテンプレート&事例つきで紹介します!


分析設計とは? ─ ビジネス課題を「数字で答えられる問い」に翻訳する作業

Step 1:いつ・誰がやるの?

  • 実施タイミング:プロジェクトキックオフ直後がベスト
  • 関与メンバー:ビジネス部門・データ部門・IT部門・場合によっては外部ベンダーも

💡ここでのゴールは、「何のために分析するのか」を

全員で共通認識にすること


なぜ分析設計が重要なのか?

Step 2:要件ブレと手戻りを防ぐ

  • 金融データは個人情報の制約が厳しく、定義の複雑さも段違いです。
  • 分析設計が曖昧だと、完成後に「そもそも目的が違った」となり、手戻りコストが膨大に。

具体的な失敗例

  • 「優良顧客=月10万円以上の決済」と定義 → 実際はキャンセルや一時停止も含まれていた
  • モデル完成後に「重視すべきは解約抑止だった」と判明 → 再設計・再学習が発生

目的変数の定義 ─ 成否を分ける“分析の核”

Step 3:目的変数のつくり方テンプレート

ステップやることチェックポイント
Step 1自然文で定義を書く例:「過去12ヶ月で残高平均50万円以上&延滞なし」
Step 2関係部門レビュー商品部・リスク部と認識が一致しているか?
Step 3SQLで件数試算対象顧客が想定より多すぎ/少なすぎないか
Step 4変更履歴を残すNotionやConfluenceでドキュメント管理

📌目的変数は「誰が・どんな状態のとき・何をしたか?」で定義すると漏れが少なくなります。


BADIRフレームワークを使った逆算設計

Step 4:分析の“使われ方”から設計を逆引きしよう

分析が現場で使われない一番の理由、それは「活用の場面が曖昧」なまま作ってしまうことです。

フレームワーク紹介:BADIRとは?

項目意味目的
B:Business Questionビジネスの問いを明文化何を明らかにしたいか?
A:Analysis Plan仮説・データ・手法の設計どうやって検証するか?
D:Data Collectionデータ収集とクレンジング適切な範囲で、正しく
I:Insights洞察の抽出何が分かったのか?
R:Recommendations提言・実装設計どう活かすか?

💡この順番を踏むことで、「作って終わり」を防ぎ、分析を

実行に繋げる


活用シーン別:設計の具体例(金融データ編)

ケース①:新規カード申込のターゲティング

  • 目的変数:過去3ヶ月以内に申込+審査通過
  • 分析軸:年齢層・年収・職業カテゴリ別の傾向
  • 施策:属性に応じたDMやWeb広告のセグメント設計

ケース②:不正利用検知モデル

  • 目的変数:取引後30日以内に不正と報告されたか
  • 分析軸:決済時間帯・金額・デバイス情報
  • 施策:閾値超過でリアルタイムアラートを送信

5ステップで整理する分析設計テンプレート

ステップやること補足
Step 1ビジネスゴールの整理例:半年でリボ利用額を10%増やす
Step 2目的変数と評価指標の決定例:利用金額、延滞フラグなど
Step 3データ棚卸しと整備計画審査情報・属性のマージとクレンジング
Step 4モデリング方針の決定AutoML/解釈性重視か精度重視か
Step 5体制・レビュー・ガバナンスセキュリティ・法務と事前に合意形成を

まとめ:分析設計のカギは「翻訳力」+「逆算思考」

  • 分析設計とは、ビジネスの課題を数字で答えられる問いに翻訳する作業
  • 金融業界では特に、「目的変数」と「活用場面」の定義が成功の分かれ道
  • BADIRフレームワークをベースに、ステップバイステップで設計→実行まで一貫化しよう

次の一歩:あなたのプロジェクトでやってみよう!

  • 今の業務で「分析したいこと」を自然文で書き出してみましょう
  • そのうえで「何を目的変数とするか」「どんなデータが必要か」を簡単に整理するだけでも大きな前進です

🎯やってみよう!まずは白紙に「問い」から書き出してみてください。

より体系的に学びたい方はこちらの本をぜひ読んでみてください
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Hiro|データサイエンティスト

ベンダーと金融現場の“両サイド視点”でデータ活用を支援中。

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